ああ、御手洗だ
斜め屋敷の犯罪 ♪♪♪♪
 これまた評価の高い御手洗シリーズ第二作。牛越刑事も登場する。

 北海道のさい果て、宗谷岬に建つ「斜め屋敷」。この傾いて建てられた奇怪な家で連続殺人が発生した。現場は密室。困り果てた札幌署の牛越は警視庁の中村に応援を要請する。しかし、やって来たのはヘンな占い師だった・・・

 ざっと読み返してみたら、最初に読んだ時より面白くなってました。何と言うのかな・・・着想が凄い。奇想です。それを味付けする手腕も素晴しい。ゴーレムや蛇のくだりがそうですね。それにしても二作目で落ち着いたのか『占星術』と比べてかなりシェイプアップされている、といった印象です。事件に関しない記述やエピソードは余り出てきません。それが物足りない、といった意見もあるのでしょうが・・・私はこういうのもいいと思うなぁ。しめるところはしめてるし・・・野暮ったい言い方ですが人情味なんかも島田荘司らしく出てるし、後年の社会問題に触れる島田作品の萌芽も見られます。
 ひとつシェイプアップされていないとすればそれは御手洗でしょう。ますます変人。石岡君もますます鋭い。彼らの出番はかなり少ないと言って良いでしょうが、あの調子で最初から最後まで出張られるのもナンですからねぇ。