占星術殺人事件 | ♪♪♪♪ |
島田荘司のデビュー作。御手洗潔のデビュー作でもある。当初は『占星術のマジック』として出版されたが、後に『占星術殺人事件』と改題。『占星術のマジック』では御手洗の名が「清志」であったり、石岡君の名が「一美」であったり微妙に異なっていたらしい。 6人の娘たちの身体の一部をそれぞれ切り取り、一人の完璧な女を合成するという男の手記通りに殺人が起きた。しかしその手記を書き残した男も何者かに殺されたのだ。40年前に起きたこの「梅沢家鏖殺事件」は、日本中を悩ませ続けていた。果たして犯人は誰なのか?御手洗潔が挑む。 |
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面白いです。舞台設定や奇怪な雰囲気、そして島荘のパワーある文体。変人御手洗に鋭い刃物のような石岡君。御手洗ものの原点がここに。40年前の事件に挑戦という設定もいい。この事件が現代に起きてしまうといくらなんでも荒唐無稽だし、何よりラストが効いてこなくなります。そのバランスがいい。 それにしても、なにもなかった時代にこれを書いた島田荘司はやっぱり凄いです。そしてこれがその後の小説と比べてもどこか違うというのがまた凄い。それはやはり島田荘司の熱さや情熱のせいなんだと私は思っています。もちろん、他の小説が熱くないとは言いませんが。丹念に愛情込めてる小説はいくらでもある。いや、話がそれましたね。 見所はと言えば・・・全部。・・・では解説になりませんね。ミステリ的論理性、技巧性はもちろん素晴しい見所なんですが、『占星術殺人事件』は最初の作品だけあって島田荘司のマニアックな面などもいっぱい詰まってるんです。占星術に関する記述も然り。それらが作品の雰囲気をまた高めています。そこも見所。論理の芸術品としての価値は少々下がっているとも言えるかもしれませんが、それも一興。たまにはとびきり濃い味付けの料理もよいものです。 とにかくサービス精神いっぱいのこの作品。御手洗ものを読み出すならこの第一作からでしょう。今なら古本屋で割と簡単に手に入ります。是非ご一読あれ!
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