vol.1よりボリュームもアップして再登場の『季刊・島田荘司』です。赤を基調とした装丁もカッコいい!楽しい記事も多いですよ。それでは、目についた記事それぞれに対する簡単なコメントを・・・
「ロシア幽霊軍艦事件」(♪♪♪)
vol.1に引き続いての新作御手洗もの。帯によると紙数460枚といいますから、薄い新書一冊分にも匹敵するボリュームです。
さてこの作品、内容はいわゆる探偵小説というより歴史ミステリ的なものになっています。殺人事件も起きません。御手洗が先頭に立ち、埋もれていた歴史の真実を解き明かしてゆくのです。
大がかりなトリック、もの哀しいストーリー。島田エッセンスが凝縮されて詰まっているとも言えるこの作品は読んでいて飽きさせません。ひとつ不満があるとすれば、歴史の真実と虚構が混沌と混ざりあっていて、少々混乱してしまう点。気にしなければそれまでなのですが・・・初めに読んだ時、私はそれが気になって心から楽しめなかったです(^^;)。今はあんまり気にしていませんけれど。と、いうのも自分でこの事件について少し調べたので(笑)。
ところでこの事件、御手洗史(なんだこの言葉は)的にはかの「アトポス」事件の直後の時期に発生しているんですね。「アトポス」事件前後の御手洗はどんな生活だったのかなぁ、なんて時々考えていましたけれど、普通でしたねー(笑)。
御手洗潔の風景
御手洗ものの名場面に使用された場所の写真を公開するという主旨の記事で、vol.1ともども楽しく読みましたが・・・私は言いたい!「吉敷竹史の風景」もやってくれ!と。天橋立、釧路、荻窪・・・見たい!(自分で行けよ、とかツッコまないで(^^;))
一枚の写真から(♪♪♪♪)
これがいい!「音符評価は小説のみ」とお断りしていましたが、この感動をお伝えするため、この記事に関しては音符評価をつけさせて頂きます。vol.2では一番いい記事かも知れないというくらい気に入っています。何のことはない、島田荘司氏の幼い頃の思い出を綴った文章なのですが、いい具合に力が抜けていて、ちょっとセンチメンタルで、読んでいてほっとする文章です。それに写真がまたいい。写真が文章を引き立て、文章が写真を引き立てるような、いい写真です。(どうでもいいことですが、目次に載っている島田氏の写真と、記事のモノクロ写真中の島田少年を見比べべると・・・ちょっと笑います(笑))ところで、ラストの一文は絶妙だと私は思います。絶妙。
金獅子 (現段階での評価は控えます)
島田ファン期待の歴史小説、「金獅子」がいよいよ開始です!しかし第一話ということでほんのつかみ程度の内容のようですね。なぜ幕末なのか、なぜ横浜なのか、という理由が作品から伝わってくる段階ではありません(vol.1で島田氏が説明していましたけれど)。そのせいかも知れませんが、「ロシア幽霊軍艦事件」のような違和感は今の所全く感じられません。以後に期待!
ほかに、「組曲・龍臥亭事件」の続き、LAのレストラン紹介、LA日記、秋好英明氏からの手紙、読者のお便りコーナーなどが掲載されています。vol.1と比べても遜色ない出来。いや、vol.1には少なかった気楽な記事が増えているぶん、全体的にはvol.1より充実していると言っていいかもしれません。価格は200円上がりましたが、そのぶん分厚くなっていますしね。
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