ライヴ!
FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO
スーパー・ギター・トリオ
JOHN McLAUGHLIN,AL DI MEOLA,PACO DE LUCIA
『都市のトパーズ』に登場
 島田作品と出会って、音楽に対して私が受けた影響の最たるものは、ジャズを愛聴するようになったこと。中でも、元RTFのアル・ディ・メオラが大のお気に入りとなりました。「浪漫の騎士」で彼が聴かせた、耳を疑うような速度の速弾きアコースティック・ギターには、感動すら覚えたものです。しかも、彼はただ速いだけではないのです。ディメオラのギターは、端正で、決然としているのです。しかし、聞いた話によると、ディメオラはその端正さ故にスランプに陥り、長く低迷していたんだそうです。近年は復活して、端正さに熟成されたうまみが加わり、ディメオラ風を確立しつつあるようです。
 今回ご紹介する「ライヴ!」は、アコースティック・ギターのみによる、1980年の作品。ディメオラが発起人のような形になり結成された、世界でも最高クラスのギター・ユニット、スーパー・ギター・トリオのライブアルバムです。3人の内の一人、ジョン・マクラフリンは、島田作品中でも名前が出たことがありますよね。パコ・デ・ルシアは、フラメンコの名手。彼のリーダー・アルバムは私は聴いていませんが、とてつもなくアクの強い音楽をやるようです。
 まず圧巻は1曲目。11分のミニ組曲風になっているのですが、3人の怒涛のような速弾きが展開されてゆきます。これでもか、これでもかという具合に叩きつけられる旋律は、灼けるように熱い。まさに3人の戦いです。この1曲目は聴いて損はないと思いますよ、奥さん!
 他にも、語りあうような2曲目、速すぎる3曲目、熱すぎる4曲目、もうリミッター解除な5曲目と、楽しさ、熱さがいっぱいのアルバム。アコースティック・ギター3本が奏でる驚異の音楽世界を、あなたも体験してみては?ギターファンらしい、と石岡君がリポートしていた御手洗さんも、当時は喜んで聴いていたのではないかな、などと想像もできて楽しいですよ(笑)。価格も新品で1800円と、非常にお買い得です。
 ちなみにこの「スーパー・ギター・トリオ」。1996年に再結成し、「PACO DE LUCIA AL DI MEORA JOHN MCLAUGHLIN」というアルバムを発表しています。こちらは、「ライヴ!」のような勢いはないものの、熟成された三人の美しいギターを、たっぷり味わえます。