ラブラブ刑事、吉敷!!
羽衣伝説の記憶 ♪♪♪♪
 主に吉敷と加納通子の関係を描く。吉敷シリーズ番外編とも言える。

 吉敷竹史は、銀座をぶらついていた折にある画廊で「羽衣伝説」と題された彫金を見つける。吉敷はその彫金が、同じく彫金をやっていた元妻・通子によって彫られたものという気がしてならなかった。
 そしてある日、吉敷はホステス殺害事件の調査のため、天橋立へとおもむく。

 一気に読めてしまう作品。巷ではそれほど話題になる作品ではないようですが、なかなか面白いです。そこここに挿入される吉敷と通子の若い頃のエピソードもいい。ホステス殺害事件に関しては、そこそこといった印象(戸安は非常に切ないですけどね)ですけども、その後の通子にまつわる謎が結構いいです。通子の告白部分はホラー的と言っていいほど怖く、吉敷の解決は実に鮮やか。鮮やか過ぎるだけに違和感も感じますが。吉敷は「足で解決する」といった印象の刑事だからでしょうね。
 通子の過去のことを主に扱った作品(文庫裏表紙には『文庫書き下ろしラブ・ストーリー』と紹介されている。・・・まぁ間違ってないとは思いますけど(^^;))ですから、『涙 流れるままに』を読もうという方は、『北の夕鶴2/3の殺人』と同じく必読の作品かと思われます。
 評価は♪3つと#。ラブ・ストーリー的な部分が効いているので#を一つ足しました。