学問刑事吉敷!
出雲伝説7/8の殺人 ♪♪♪#
 前作『「はやぶさ」1/60』の流れを受け継ぎ、トラベルミステリーに過剰なまでの猟奇性と本格性を持ち込んだ作品。

 山陰地方の五つの駅と大阪駅から、頭を除くバラバラ死体のパーツがそれぞれ発見された。この死体は一体誰なのか?どうやって、何のために死体をわざわざいくつもの駅にバラまいたのか?そして頭はどこに?犯人の正体は?謎だらけの事件に迫るのは捜査一課・吉敷竹史!

 いつもながら雰囲気作り・味付けが光ります。猟奇的殺人に出雲神話が絡み付き、論理がそれを破壊するという島荘テイストあふれる一品。この雰囲気作りは本当に良い。作中にヤマタノオロチ伝説に関する解釈が表れますが、これ、学問的に見てどうなんでしょうね?古代史疎いんでよくわかんないんですが、島田荘司って多才ですねぇ・・・
 出演女性たちは怖い人ばっかりです。女の情念がある意味作品のメインテーマ・・・ああ、怖い(笑)。御手洗がこき下ろしそうな人ばかりなんですもの(^^;;)。ミステリとしては骨太でも、その辺はちょっと好みが分かれそう。そんな中で一服の清涼剤となるのがラストシーン。ありがちで予定調和的と言っても、私は気に入ってます。ああ、なんて共鳴できるの。