走る刑事吉敷!
確率2/2の死 ♪♪♪
 光文社文庫書き下ろし作品。

 巨人軍川口投手の息子が誘拐された。吉敷は犯人の指示で身代金の入ったカバンを抱え、赤電話から赤電話へ次々と走らされる。ところが途中で犯人は突然身代金の要求を放棄、子供を解放すると言い残し連絡を絶った。一体何が起こったというのか?

 これといって特徴のない作品・・・かもしれない。吉敷は未だ普通の刑事・・・
 謎はなかなか意外性がありますが、これといった華々しさのようなものがない感じです。力のない庶民が次々登場しますが、どうやら救済はされず糾弾される一方で・・・のちの「本格と社会派の融合」路線に至る道程といった作品か。
 しかし誤解はしないで頂きたいのですが、この小説、決して面白くないわけではないのです。起承転結はきっちりついているし、吉敷の活躍、どんでん返しと、いいものは揃っていて楽しめます。しかし、テーマ的にも謎も、地味さが目につくかな、という印象は拭えないのです。小さいテーマがいけないということではないです。小さいテーマなら小さいテーマなりの語り方があるはずなのです。そこが少し満足できない作品でした。