夜は千の鈴を鳴らす | ♪♪♪# |
島田作品では珍しい傾向のトリックが使用された作品。 マンションの一室。女社長と若い秘書が話している。ひょんなことから女社長は秘書を挑発するように「私を完全犯罪で殺害出来れば、土地を譲る」と口にした。そして10日後、女社長は寝台特急「あさかぜ」内で死体となって発見された。死ぬ前に「ナチが見える!」という謎の言葉を残して。 |
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ミステリとしてまとまっており、楽しめる作品。草間のキャラといい、鬼島社長のキャラといい、味わい深いものとなっています。誰が悪人なのか判然とせず、考えさせられてしまうところも非常に味わい深いですね。他にも作中の犯罪の不気味さ、倒叙的な語り方をはじめとしたテクニカルな構造、高度成長時代の日本の悲哀、久々に復活した時刻表トリックと内容は盛り沢山。しかしそれだけに、突き抜けた魅力がないのが弱点か。 小耳に挟んだのですが、この作品のトリックは他作品(むろん他の作家の)で既に使われたものだったとか。詳しいことは勉強不足で知らないのですけど、本当ならこの作品、ミステリとしては減点となってしまうのでしょう。
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